近義起CTOに聞くAXGP戦略「都市部での大容量モバイル実現がAXGPの責務」 | ビジネスネットワーク.jp
(http://businessnetwork.jp/Detail/tabid/65/artid/2156/Default.aspx)
っていう記事が出てきた。
その中でも、ここが見どころだと個人的に勝手に設定しちゃって思いを述べちゃったりしてみる。
——端末が共通なら、AXGPはTD-LTEとは何が異なるのでしょうか。
近 大きな違いは、AXGPがPHSと同様の高密度置局が可能であることです。これにより大容量のネットワークを実現できます。
マイクロセル化はネットワーク容量拡大の有効な手段ですが、基地局を密に打つと干渉問題が起きてしまいます。AXGPにはこれを回避する特殊なアルゴリズムや基地局の打ち方のノウハウなどが盛り込まれているのです。
——具体的にはどんな技術が使われているのですか。
近 技術要素は、最近話題に上るようになったヘテロジニアスネットワークなどで使われているものと大きな違いはありません。
最も異なる点はノウハウの蓄積です。我々がPHSを20年間展開しており、どうすれば容量拡大が可能になるのか、問題を起こさないようにするには何が必要となるか、などが分かっているということです。
ちょっと掘り下げてみよう。
「ヘテロジニアスネットワーク」が何かというと、だいたい以下2通りの意味で使われる言葉のようだ。
(1) 3G, 4G, WiFiなど、異なるネットワークを統合しシームレスに扱う技術
(2) LTE-Advancedで策定されている(されようとしている、か?)、サイズの異なるセルが混在していてもそれぞれのセルを効率的に運用する仕組み
参考:第523回:ヘテロジニアスネットワーク とは - ケータイ Watch
(http://k-tai.impress.co.jp/docs/column/keyword/20110712_459938.html)
今回のインタビュー記事では、(2)の意味で使用しているものと思われる。
さらに、(2)の意味の「ヘテロジニアスネットワーク」を見ていくと、その技術要素として「ICIC」が出てくる(ICIC=Inter-Cell Interference Coordination:セル間干渉制御)。
ICICは、LTEの時点ですでに規格としては入っているが、オプションなのであまり実装はされてないっぽくて、LTE-Advancedではこれに本格的に取り組みましょう、というもののようだ。
LTE-AdvancedではeICIC(enhanced ICIC)になってて、違いは以下の通りとのことだ。
参考:WirelessMoves: What's the Difference Between LTE ICIC and LTE-Advanced eICIC?
(http://mobilesociety.typepad.com/mobile_life/2012/03/whats-the-difference-between-lte-icic-and-lte-advanced-eicic.html)
ICICと言えば、前にこのブログで触れた通り(http://icktty.blogspot.jp/2011/11/axgptd-ltetd-lte.html)、ZTEのAXGP基地局に実装されていることが分かっている。
また、前回のエントリ(http://icktty.blogspot.jp/2012/05/huaweiaxgp.html)で書いた、HuaweiのAXGP基地局に実装されているという「SFN anti-interference solution」も、同様のことを指しているものと思われる。
これらのことから、AXGPのセル間干渉制御技術については、下記いずれかが成り立つ。
・AXGPでは、LTEでオプションとなっているICICを導入している
・AXGPでは、LTE-Advancedで規定されるeICICを先取りしている
しかしもし前者であればそれはTD-LTEの標準の範囲であり、TD-LTEに比したAXGPの差異とは言えない。
つまり後者だと見るのが自然だ。
さらにその技術の源泉は、近CTOの言葉にあるように「20年にわたるPHSの技術」にあるのである。
ごちゃごちゃしてきたのでそろそろまとめよう。
・AXGPはTD-LTEそのものではない
・AXGPは、LTE-Advanced世代のセル間干渉制御技術を先取りしている
・つまりAXGPはTD-LTEの上位互換と言える規格である
・よって、LTE-Advanced世代になれば、TD-LTE側が追いついてAXGP=TD-LTEになるものと思われる
・さらに、その技術は、PHSから受け継ぐ、長年にわたりWILLCOMが培ってきた技術である
しかしAXGPは不遇だなあと思う。
世間的には「ソフトバンクがXGPを強奪してTD-LTEにすり替えた」との風評が大変強い。
そのせいで、長年のWILLCOMファンの人もAXGPを見限ったりしている。
でも、上でまとめた通り、見限るようなものではないし、見限ることなどない。
と、私は思う。
つってもぜんぶ俺の希望的観測だけどね!えへへ
さて、明日5/29はいよいよ新機種発表会だ。
AXGP関連の発表があるかは分からないが、とにかく要チェックだ。
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